FastOcean型は、FASTtrackaI型、II型に続く三世代目のFRR蛍光光度計です。I型からII型へと小型化した当初は総生産(GP)の推定のみだったのと、旧世代の重要な問題点は単波長の励起光だけしか使えないことでした。それゆえにシアノバクテリア等を測ることができませんでしたが、FastOcean型となって3波長の励起光とすることで以下のFRR蛍光光度の新たな手法を可能としました。

 ●総基礎生産量の推定
 ●植物プランクトンの群同定
 ●藻類ブルームの検出

性能は、II型のワイドダイナミックレンジをそのままにLEDの閃光強度の可変式に加え、3波長の励起光を同時に、あるいは個別に特定波長のみ発光できるようになりました。検出器は近赤外域感度を高めた光電子増倍管で、ワイドダイナミックレンジに行えるよう10ステージダイノードチェーンを採用し、筐体は体積比40%以上コンパクトなりました。

測定方法は従来シングルターンオーバーのみの照射方法でしたが、今回新たにマルチプルターンオーバーにも対応しました。閃光設定は最大10個の測定プロトコルから、各々最大5個の飽和過程、緩和過程が設定でき、各過程で最大8000回もの繰り返し照射が可能です。これらの一連の測定プロトコルは最小200μ秒から設定できますから、急変する測定対象や水の流れに柔軟に対応できます。

また、サウサンプトン海洋学センターとエセックス大学の共同研究によって開発された新しいアルゴリズムを採用することで総基礎生産量(GPP)の推定が行えます。筐体は、フルチタニウム製で長期間の観測で腐食による心配はありません。

FastOcean型は明室(Ambient)と暗室(Dark)、PARセンサ組み合わせたシステム(FastOcean APD)として現場での総基礎生産量の推定を目的としています。光合成測定用卓上チャンバーFastAct2型と組み合わせることで、室内で植物プランクトンの光合成活性(照射光を可変照射した光-光合成曲線)の測定、Flow Chamber Assemblyと組み合わせることで表層モニタリングが行えるなど、アタッチメントタイプのオプションを豊富に用意しています。




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FastOcean APD、ロギング観測用

(FastOcean×2、PARセンサ、ポンプ式ダークチャンバー、24Vプログラムバッテリー)

  特  徴

   □ 活性クロロフィル蛍光のリアルタイム測定

   □ 可変閃光照射強度

   □ 3波長の励起光によりほとんどの植物プランクトンの群衆の検出可

   □ シングルターンオーバーあるいは

      マルチプルターンオーバーでの測定が可能

   □ 広いダイナミックレンジ

   □ PARセンサオプションによる光環境の取得

   □ 流水、濁質水の許容


写真左から、センサレンズ(焦点距離、水中15mm)、センサ前方の断面図、試料チャンバーの水の流れ、RAGシステム

   
システム構成例

現場にて植物プランクトンの光合成活性を測定する場合
 ロギング観測用
  ●FastOcean×2(明室用 深度センサ付き、暗室用)
  ●PARセンサ(半球タイプ)
  ●ポンプ式ダークチャンバー(暗室用)
  ●24Vプログラムバッテリー
  ●観測用水中フレーム

 リアルタイム観測用
  ●FastOcean×2(明室用 深度センサ付き、暗室用)
  ●PARセンサ(半球タイプ)
  ●ポンプ式ダークチャンバー(暗室用)
  ●水中ケーブル(最大ケーブル長200m)
  ●USBデュアルインターフェースユニット
  ●24V電源ユニット
  ●観測用水中フレーム

室内にて植物プランクトンの光合成活性を測定する場合
  ●FastOcean×1(明室用又は暗室用)
  ●FastAct2型

表層モニタリングとして使用する場合
  ●FastOcean×1(明室用又は暗室用)
  ●Flow Chamber Assembly

ロギング観測用




リアルタイム観測用





  仕  様

現場型FRR蛍光光度センサ(明室/暗室)

 測定対象

植物プランクトン

 測定範囲

0.02〜200μg/L以上

 光源

LED

 励起波長(中心)

450nm、530nm、624nm

 LEDフィルタリング

630nmショートパスフィルタ(>OD6 波長655nmから750nm間で)

 励起パルス

閃光幅1μ秒、閃光間隔1μ秒(最小設定値)

 検出センサ

メタルパッケージ型光電子増倍管(PMT)

 検出フィルタ

2×3mmSchott RG665+682nmピーク、スペクトル半値幅30nm

 サンプルボリューム

1cm3

 ダイナミックレンジ

4000:1以上(印加電圧320〜800V)

 A/Dコンバータ

16ビット分解能(深度センサ、PARセンサ)
15ビット分解能(PMTの各レンジ)

 メモリ容量

16Gバイト

 耐圧

600dbar

 外形寸法

88mm(径)×284mm(長、コネクタ部は除く)

 重量

2.9kg(空中)、1.0kg(水中)

 電源

18〜36VDC

 ハウジング材質

チタニウム

 ウィンドウ材質

アクリル

PARセンサ

 測定対象

光合成有効放射量

 視野角

130°

 測定範囲

0.002〜3,000μE/m2・sec

 耐圧

1,000dbar

 外形寸法

50mm(径)×130mm(長)

 重量

0.85kg(空中)、0.5kg(水中)

 電源

7〜20VDC

 ハウジング材質

ステンレス/アセタール樹脂

 集光器材質

PTFE

USBデュアルインターフェースユニット

 インターフェース

USB(USBデュアルインターフェースユニットとPC間)
RS422(現場型FRR蛍光光度計とUSBデュアルインターフェースユニット間)

 電源

24〜30VDC

24Vプログラムバッテリー(ロギング観測時)

 電池の種類

ニッケル水素充電池

 測定可能時間

約6時間(フルシステム時)、約14時間(1台のFRR蛍光光度計、PARセンサ)

 重量

4.3kg(空中)、3.6kg(水中)

 ハウジング材質

チタニウム

現場型FRR蛍光光度計APDシステム

 動作周囲温度

-10〜50℃

 システム重量
 (ロギング観測)

20.3kg(空中)、10.0kg(水中)

 システム重量
 (リアルタイム観測)

16.0kg(空中)、6.4kg(水中)

 システム寸法

316mm(W)×292mm(D)×685mm(H)