FASTtrackaII型は、世界各国の研究者から好評頂いたFRR蛍光光度計、FASTtrackaI型の後継器です。
II型は、LEDの閃光強度を可変式にする一方、クロロフィル-aの検出をワイドダイナミックレンジに行えるように光電子増倍管(PMT)の印加電圧を自動調整できる等、格段の向上を計るばかりでなく、ハウジングの小型・軽量化にも成功しました。
性能の向上だけでなく、旧モデルでは明・暗のデュアルになっていたシステムをシングルに単純化すること用途の拡大が図られています。これはIronEXII及びSOIREEにおいて得られたプランクトンブルームの予見がシングル測定だけでなしうるという考察などに基づいています。
従来シングルターンオーバー(ST)のみの照射方法でしたが、今回新たにマルチプルターンオーバー(MT)にも対応しました。
閃光設定は、最大10個の測定プロトコルから、各々最大5個の飽和過程、緩和過程が設定でき、各過程で最大8000回もの繰り返し照射が可能です。これらの一連の測定プロトコルは最小200μ秒から設定できますから、急変する測定対象や水の流れに柔軟に対応できます。また、これらの設定はグラフィカルユーザーインターフェース(GUI)上から全て行えます。
ハウジングは2種類あり、アセタール製は耐圧200mですが、チタニウム製は耐圧500mになります。
オプションのFastAct型と組み合わせれば、光合成−光曲線の測定も行えます。
新たに、FRR蛍光光度計に専用のアダプタを組み合わせることで除草剤による飲料水汚染の毒性検査を可能としました。チェルシー社は英国や米国における多数の野外データから実生活上の飲料水汚染について誤りのない検出をすべくFRR蛍光光度計ベースのアルゴリズム、RAG(Red/Amber/Green)システムを開発しました。飽和課程のFv/Fm,
pと緩和課程のτf, Raの主な4つのパラメータを監視するもので、状況に応じて画面上にAmber(黄)、Red(赤)の色でリアルタイムに警告します。本アルゴリズムは当初、英国国防省国防科学技術研究所(DSTL)によって実験室レベルの毒性検査として提唱されたものです。
このシステムの中心には1μ秒速の閃光で800立方ミリメートルを照射する10個の超高輝度青色LEDを配置し、励起された赤色クロロフィルaが前方のレンズ中心を通して集められ光電子贈倍管(PMT)に導かれます。
総合カタログPDFダウンロード(2.39MB) |
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特 徴 |
□ 活性クロロフィル蛍光のリアルタイム測定 |
□ 可変閃光強度 |
□ STとMTの測定が可能 |
□ 広いダイナミックレンジ |
□ PARセンサーオプションによる光環境の取得 |
□ 流水、濁質水の許容 |

写真左から、センサーのレンズ(焦点距離、水中15mm)、センサー前方の断面図、試料チャンバーの水の流れ、RAGシステム
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測定対象 |
クロロフィル-a |
測定感度 |
0〜600μg/L |
光源 |
LED |
閃光強度 |
0〜30mmol・photons/m2/sec以上 |
閃光幅 |
1μ秒 |
励起波長 |
470nmピーク、±20nm |
受光センサ |
光電子増倍管(PMT) |
検出波長 |
685nmピーク、±10nm |
検出限界 |
0.1mg/m3以下 |
ダイナミックレンジ |
4000:1以上(印加電圧320〜800V) |
サンプル体積 |
1cm3 |
動作環境 |
-10〜+50℃ |
保管環境 |
-10〜+40℃ |
電源 |
9〜72VDC |
消費電力 |
10W |
メモリ容量 |
4Gバイト |
ウィンドウ材質 |
アクリル |
ハウジング |
チタニウム、アセタール樹脂のいずれか |
耐圧 |
チタニウム:500m アセタール樹脂:200m |
寸法 |
チタニウム:112.5mm(径)×339.5mm(長) アセタール樹脂:130.0mm(径)×339.5mm(長)注1) |
重量 |
チタニウム:6kg(空中)、3kg(水中) アセタール樹脂:6kg(空中)、3kg(水中) |
注1)プロファイリングキットを組み立てた時の全長は、Ti製及びAc製共に550mmになります。 |
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